2012年3月21日水曜日

シネモラをプレイして本当に気になったこと

久々の横シューティングの完全新作「シネモラ」をプレイ.

うーん,惜しい出来だなあ.とにかくストレスフルなゲームデザインには閉口.

演出とかグラフィックとか弾幕とかオリジナリティにあふれていて,一見面白そうに見えるのだが,一般的なシューティングゲームにおける救済措置が一切ないことにより意味不明なほど難易度が上がっている.


基本システムは残り時間内に次のチェックポイントにたどり着くといったよく見たもので, 被弾すると残り時間が減る,敵を倒すと増える,つまり実質時間=ライフとなっている.これだけ見ると実に初心者向けに見えるんだけれど,ダメージを受けた際の無敵時間が0なので,細かい弾幕に塗れるとみるみるうちにタイムが減ってしまうのだ.地形に当たった際も然りで,見栄えのよいポリゴンが仇となって知らない間に地形に挟まれてゲームオーバーとなることもしばしば.

またステージ後半至るところに設置されているトラップは一撃死のものが多く,しかも死んだ理由が判らないことも.よっていかな敵を沢山倒そうとも残り時間の意味は全くなく,死ぬときはあっさりと死ぬ.実質のコンティニュー回数が残機数といったところなので,むしろ残り時間システムは取っ払ったほうが分かりやすいのではなかったか?

初見殺し満載の憶えゲーだから仕方がないといった意見もあるだろうが,この他にもストレス源は多々存在する.例えば,アーケードモードに搭載されたランクシステムなんて,もともと1発でも被弾するとタイムオーバーとなる仕様ではそもそも意味のないものだ.敵の弾についても大きさ,色すべてに統一感が無い為に,このジャンルにおいて生命線と言える当たり判定の分かりやすさが殺されてしまっている.敵が撃ち返しをするのは良い.だが,波うつ撃ち返しは言語道断だ.コンティニューをすれば一定位置に戻されてしまうし,その都度ムービーを早送り(スキップじゃなくて!)しなければならない.どうにも他社のゲームシステムのいいとこ取りをしようとして様々な点でしくじっている印象を受けるのだ.

この時点でコントローラーをぶん投げたくなるのも判らないでもない.
ぶっちゃけ開発者はこのゲームを誰に遊んで欲しかったの?と勘ぐりたくなる.世界観を練るのも,美しいグラフィックを作るのもよいが,そもそもそんなものがなくても面白いものは面白いのだ.ジオメトリウォーズがなぜ売れたのか,よく考えてみる必要があると思う.

と,同じようなことをhard corps:uprisingで言った気がするが,どうにもろくにテストプレイををしていないのではないかと疑り深くなってしまう.難しいゲームを作りたかったのは判る.でも何のために難しいのか?プレイヤーに繰り返し遊んでほしいからじゃないのか?そして繰り返し遊ばせたいのならもっとシステムには優しさ(遊びやすさ,もうちょっとで先に進めそうといった壁の設定等)がなくてはいかんと思うのだ.未熟なプレイヤーの上達を陰から応援するような.確かにこの部分はシューティングゲーム勘って部分だからなかなかうまく行かないってのもあるのだろうけれど,今のままでは間口が鍵穴より狭いぞ.

ぜひ,タイトルアップデートを行い,残り時間システムの再考をお願いしたい.まじでこれだけで名作に化けそうな気配がある.逆にこのままじゃエンディングを見たら2度とプレイしたくないといった事になってしまう.久方ぶりに次のステージを見たくてコンティニューを繰り返したくらいは魅力てきなんだから,ねぇ.



開発は海外なのか.ということは日本製のシューティングゲームは海外のプレイヤーの目にはこんな感じに映っているのかしら.こちらではインベーダー,ゼビウス,グラディウスと脈々と受け継がれた不問律というものがあって,例えば危険なトラップなら危険そうな素振りをしなければならないとか,弾が通過できるなら自機は接触しないとか.そういった暗黙のうちに積み重ねられたロジックの上に様々なゲーム性が展開されているのだなあと再認識した.

だってこのゲーム,壊した巨大砲台の残骸が体当たりかましてくるわ,無駄にランダムで隙間が無くなるとか,弾が背景に溶け込んで全く見えないとか,背景に隠れて弾が見えないとか,ステージセレクトをすると自機が弱すぎてゲームにならないとか,ボスモードをクリアすると強制的にメニューに戻されるので,続けて遊ぶのが苦痛だとか…出るわ出るわこれまでシューティングゲームで気になったシチュエーションがそれはもうフラッシュバックのように.これをそのゲームの難しさととるか,不親切さととるかはその開発者のセンスなんだけれど,その拙さ加減が古き良き時代のゲーム風情を醸し出しているとも言える.でも,もう21世紀なんだからこんなゲーム本編から逸れたストレスを感じたくないのだが…

正直なところ様々な面で尖りすぎている本作,とうてい万人にはおすすめできない.1200MSPといった価格も,辛うじてストーリーモードのみがプレイに値する難易度であることを踏まえると正直高すぎる.リプレイ性が高いと思われるあアーケードモードはそもそも存在が疑われるほどの難易度.ステージセレクトしても自機が最弱の状態ではザコ敵を倒すのもままならない.いかなマゾゲー好きであっても,最高難易度のいきなり詰んでいる状態から戦況をひっくり返すのは到底無理.悲しくなるほど遊ばせてくれない.

逆にその世界観や,美しいグラフィックに魅力を感じることが出来るのであれば,是非手にとって見て欲しい.細部まで作りこまれた背景はストーリーを語るに十分な出来だし,演出だってトップクラスの出来だ.だからこそ惜しい.このまま単なる洋ゲーとして埋もれてしまうのはなんとも勿体ない.後ほんのちょっとプレイヤー視点の調整が欲しかった.プレイヤー視点のインターフェース設計をして欲しかった.

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